Wings of Amazonian butterflies

2022

Wings of Amazonian butterflies, stainless steel mirror

鶴岡市アマゾン博物館・館長山口吉彦氏のコレクション、アマゾンの蝶。

標本としては価値の無くなった蝶の翅を譲り受け、作品を作ることになった。

多様多種な蝶の翅を触るうちに、ふと、モルフォ蝶の眼状紋に目が留まった。

「この部分を切り取ると眼があって顔に見える!」という発見があり、

今回の制作のテーマに関わる蝶の擬態について興味が湧いた。

この「顔に見える」という現象は一説(※)によると、

蝶や蛾が持っている不思議な模様は捕食者の視覚認知を騙すために進化してきた、とある。

例えば、鳥の天敵(蛇や梟など)の外見の一部を取り入れた模様が蝶の翅に再現されており、

それを見た鳥が瞬間的に騙される、というようなことだ。

自身の外見に他の生物の模様を取り入れるということは、彼らの歴史と生活を想像することができるものなのかもしれない。

そのようなことに思いを馳せながら蝶の翅の不思議な模様を組み合わせ、ミラーの中にだけ立ち現れる架空の生物を作った。

※参考文献 フィリップハウス著「なぜ蝶は美しいのか」

参考文献の中で提唱されているサテュロス型擬態を参考にしましたが、

擬態の分類や進化については進化生物学の冨田秀一郎先生にアドバイスを頂きました。

size | W160×H260mm